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HTS支部 時給制への不利益変更撤廃を求める裁判 証人尋問

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(証人尋問を終え、裁判所前で)

東部労組HTS支部は2015年11月、時給制への変更による労働条件の不利益変更の撤廃を求め、日当が8時間分の労働の対価であることを前提として、添乗員への「事業場外みなし労働」の適用を否定した最高裁の判断によって示された「あるべき賃金」との差額請求の裁判を提起しました。
この裁判の証人尋問が9月25日、東京地裁で行われました。

組合側の証人として東部労組菅野委員長と原告の一人である大島組合員、会社側は営業本部東日本営業部長の石丸氏が証言を行いました。

はじめに、東部労組菅野委員長が証言に立ちました。
原告側小川弁護士による主尋問で菅野委員長は、今回の裁判に至った思いとして、「事業場外みなし労働撤廃によって実現されると期待した長時間労働の是正が時給制導入によってまったく改善されていない。お金だけの問題ではなく、添乗員の命と健康に関わる問題だ。この裁判を通じて長時間労働の是正を目指したい」「最高裁の判断・意思をねじ曲げることは許されない」と述べました。

続いて証言に立った石丸氏への反対尋問では、原告側松浪弁護士・棗弁護士が、時給制導入における時給設定の根拠につき矛盾点を厳しく追及しました。また、2014年1月の最高裁判決により「事業場外みなし労働」が否定され、残業代不払いが確定した後、時給制に移行する同年10月までの期間につき、支払い義務が生じた残業代の支払いを会社が放置していたことも明らかになりました。

最後に、棗弁護士による主尋問で原告大島さんは、この裁判を提起した理由について「6年に渡る前回の裁判で、最高裁の判決は希望となるものだった。この闘いをムダにはしたくない」「例えば帰着日については、時差を含め24時間以上の拘束に対し、時給制に移行した結果、支払いは2時間分のみとなった。これは大きな不利益だ」と述べました。
そして、時給制導入により、組合が望んだ長時間労働の抑制・撤廃は実現しておらず、まったく改善されていないという実態を自らの就業実態から明らかにしました。
大島さんは長時間労働の具体例として、添乗した10日間のツアーのうち7日間の合計労働時間が100時間超、1日平均では約14時間にものぼる、と証言。また、そのツアーを含むその月の2本のツアーで残業時間合計が114時間にのぼる、と証言しました。過労死ライン(月80時間の残業)をはるかに上回る残業時間です。
このような長時間労働、いわば命と健康を削りながらの労働が時給制の導入によって温存されているのです。

大島さんは会社側西濱弁護士による反対尋問に対しても毅然として実態・事実を堂々と証言しました。
この中で、西濱弁護士は大島さんに対し「この会社での仕事がつらいなら、不満があるなら、どうして他の会社に行かないのか」(阪急トラベルサポートを辞めて他の会社に移ればいいではないか)との趣旨の質問を行いました。現在の会社で歯をくいしばって、添乗員の待遇改善のために闘っている大島さんに対しまったく失礼な質問です。許されるものではありません。これには、東部労組各支部・支援の仲間が見守る傍聴席からも非難のどよめきが起こりました。

今回の証人尋問では、会社が強行した時給制が長時間労働温存の「ための」ものであるか、最高裁・司法判断をいかにねじ曲げたものであるかが明らかになりました。

この裁判は年末に結審を迎える予定です。
全国の添乗員のみなさん、引き続き激励・ご支援をお願いいたします。

【参考】時給制導入の経緯
HTS支部 第34回団体交渉

阪急トラベルサポート 労働時間管理と時給制を導入

HTS支部 第36回団体交渉

阪急トラベルサポート 時給制の就業規則を強引に提出

HTS支部 第37回団体交渉


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